NEWS

NEWS一覧

2019.09.07VISION1学びのかたちの新展開

同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」

2019年9月7日から10日までの4日間、同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」が滋賀県大津市北小松の同志社びわこリトリートセンターで行われました。
この合宿は、塾生が社会を中心的に支える世代となり、様々な分野で指導的立場にいるであろう2040年頃の時代でも通用する普遍的な学力とは何かを知り、それをいかに獲得すればよいかを学ぶことを目的としています。第1期塾生13名、体験参加(1年次生)4名の計17名と昨年度に参加した4名がチューターとして、合宿に参加しました。

【1日目】
初日は「いま大学で勉強するということ」をテーマに松岡 敬 学長(新島塾塾長)と佐藤 優 講師(同志社大学特別顧問・神学部客員教授)の対談・討論が行われ、「学部の壁をぶち壊せ」「文理の分野にとらわれない学びと教養教育の充実で、博識に対立する統合知を身に付けろ」など、講師から力強いメッセージが送られました。
また、中盤には対談内容に関してグループごとに議論し、その内容を発表する場が設けられ、要点が明確でないグループには「論点と回答の提示について明確に示すこと」「命題がつかめていない」といった厳しい指導がされ、やり直しを課されるなど緊迫感のある対談・討論となりました。

【2日目】
2日目は礼拝堂での祈祷会から始まりました。厳かな雰囲気の中、聖書の一説を読み解きながら聖書の成り立ちについて学ぶだけでなく、塾生・チューター・体験参加1年次生はもとより、教職員一同も大学で学ぶ意義について見つめ直す機会となりました。
祈祷会に続いて、「総合知」をテーマとした佐藤 優 講師によるセッションが始まりました。
序盤で、課題図書の通読・精読の度合いについて確認が行われ、塾生によってその程度にばらつきがあることが分かりました。講師からは「課題図書をしっかり読まないで、その内容について批判するのは知識人としてルール違反である。」という指摘がされ、塾生は知識人として備えるべき態度・姿勢の面でも気付きがありました。
他にも、講師のこれまでの外交官としての経験を振り返りながら「これからの高等教育には、汎用性の高い教養教育が重視される」「リーダーシップにおいて決定的に重要な要素は、能力の有無である。」との話があり、塾生たちは講師の話を真剣に聞き入っていました(体験参加学生はこのプログラムまでの参加)。
午後のセッションでは、午前のセッションをもとにしたレポート課題に加えて、作成したレポートの内容を自分の言葉で再説明し、1行に要約するという課題も課されました。
塾生にとっては、自分の言葉で説明するには内容をしっかりと理解していないとできないということを実体験として知る機会となりました。

【3日目】
3日目は前日に課されたレポートの回収から始まりました。
講師からは「時間内に60点のものが完成すれば良いが、時間を過ぎて90点のものを仕上げても0点と同じ」「自分の考えを言葉にするときは『言葉を定義すること』について無自覚ではいけない」といった助言がありました。
その後、レポート課題に沿ったディベートが行われ、その中でも「いくら知識や情報量があっても、相手が分からないよう言葉で話しては正しく伝わらず、何も言っていないのと同じである」との助言があり、塾生はここでも新たな気付きを得たようでした。
午後からは「資源・情報・エネルギー」をテーマに「文系学生に理系の学習がなぜ必要なのか」という論点から、後藤 琢也 講師(理工学部教授・学長補佐)のセッションが始まりました。セッションでは、課題図書において繰り返し触れられている「エネルギー」の厳密な定義がなされていないことについて科学的な見地から触れつつ、「まずは専門を1つ極めなさい。極めた後、広げていくと相転移が起こり、いつか繋がる日が来る。自身の専門性に近いところからその周辺領域が見えるようになる。」という学びの姿勢についてのメッセージが送られました。

【4日目】
3日目と同様、前日に課されたレポートの回収から始まりました。
課題に関して、肯定派、否定派それぞれの塾生の意見が紹介され、講師からは「解は1つではない。どちらかが正解ではなく、どちらの考え方もできる。まず言葉の定義をした上で、自身の考えのよりどころに基づき、逆の立場の意見についても考える謙虚さが大事だ。」との話があり、塾生は熱心に耳を傾けていました。
加えて、「書を読む際には、巻末の参考文献を参照する習慣を付けること。参考文献として複数回参照されている本があれば、それも関連付けて読むことで学びを広げること。」とのアドバイスがありました。
最後に「世界が多様性をどう保つかが問題で、皆が違う方向を向き始めると脆いというのは、自然が教えてくれている。多様性をもっていれば適応しやすい。多様性とは、知識と情報交換だ。文系学生もぜひ自然に目を向けるようにしてほしい。」というまとめがあり、後藤講師のセッションは終了しました。
午後には、佐藤講師による合宿の総括が行われました。
「分からないことを埋める努力を継続的にできるかどうか。間違えたときがチャンス。」
「皆さんはもしかしたら不本意入学だったかもしれない。『勉強は自分のためであり、社会のため』という切り替えが出来るかどうか。」
「受けるより与える方が幸いである(使徒言行録20章35節)。新島塾塾生は将来、次の世代に与えることができるように、まずは受ける器を大きくしてほしい。」
といった数々の熱いメッセージが贈られた後、塾生ならびに教職員一同でお祈りを捧げました。

こうして、4日間にわたる同志社大学新島塾「合宿で鍛える知的基礎体力」を終えました。
日々の濃密なプログラムに加え、夜には講師をはじめとする教職員と塾生との懇親会も開催されるなど、日常生活から離れて塾生や講師と時間・空間を共有して語り合える、実り多い合宿となりました。

  • VISION1
  • VISION2
  • VISION3
  • VISION4
  • VISION5
  • VISION6